梅酒は本格焼酎で作ってもおいしい! 原料ごとの味の違いや選び方のポイントを確認

梅酒は本格焼酎で作ってもおいしい! 原料ごとの味の違いや選び方のポイントを確認
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梅酒とは、酒類に梅の実を漬け込み、糖類などを加えて作られるリキュール。酒税法の関係上、自宅で作る梅酒のベースにはアルコール度数が20度以上の焼酎を使うのが一般的です。ここでは、焼酎の種類によって異なる梅酒の個性や選び方のポイントなどを紹介します。

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梅酒のベースというと、ホワイトリカー(甲類焼酎)が一番に挙げられますが、本格焼酎を使うとまた違った風味がたのしめます。

梅酒のベースに焼酎が使われる理由

梅酒のベースに焼酎が使われる理由

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梅酒とは、酒類に梅の実を漬け込んでエキスを浸出させ、糖類などを加えて味をととのえた日本を代表するリキュールのこと。ベースとなるお酒には、焼酎を使用するのが一般的です。

元禄時代の本草書「本朝食鑑」によると、江戸中期ごろは日本酒の古酒をベースに梅酒作りが行われていたようですが、なぜ焼酎が定着したのでしょうか。

じつは梅酒のベースとなるお酒の種類に決まりはなく、日本酒やワインを使うことも可能です。それでも焼酎が選ばれるようになった背景には、日本の酒税法がありました。

梅酒作りは、酒税法でいう「混和」という行為に当たります。お酒にほかの物品を混和することで、新たなお酒を製造したとみなされるため、お酒の製造免許を持たない人が行うと10年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。もっとも、ここには以下のような例外が設けられていて、条件を満たした場合のみ、自家製梅酒作りが可能になります。

◇自分で飲むことを目的に
◇アルコール分20度以上、かつ、酒税が課税済みの酒類を使用


この条件をクリアするのが、日本酒に比べてアルコール度数が高い焼酎でした。
酒税法で一般家庭に梅酒作りが認められたのは、1962年のこと。その後巻き起こる果実酒ブームを焼酎業界が後押ししたこともあり、梅酒のベースといえば焼酎というイメージが定着したのかもしれません。

(参考資料)
国税庁|自家醸造

梅酒のベースにはウイスキーやブランデーも使われる

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じつは、アルコール分20度以上という条件をクリアする酒類は焼酎以外にもたくさんあり、ウイスキーやブランデー、ウォッカ、テキーラなどの蒸溜酒も梅酒のベースとして使われることがあります。

数ある蒸溜酒のなかでも焼酎が梅酒のベースに選ばれる理由としては、ウイスキーやブランデーほど香りや味わいの個性が強くないこと、後述するホワイトリカー(甲類焼酎)に関していえば、ほかの蒸溜酒よりも安価で手に入るという点などが挙げられるでしょう。

梅酒用の焼酎ってあるの? 定番はホワイトリカー

梅酒のベースといえばホワイトリカー

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焼酎といっても多種多様で、原料や製法によってさまざまな種類に分けられます。数ある焼酎の種類のなかでも、梅酒用、または梅酒などの「果実酒用」とされているのは、「ホワイトリカー」と呼ばれるお酒。一般的には甲類焼酎を指します。

ホワイトリカーの魅力は、なんといっても無味無臭に近いクリアな味わい。独特の香りや味が魅力のウイスキーやブランデーなどの洋酒はもちろんですが、原料の個性が活きた本格焼酎(乙類焼酎)と比べても、梅から浸出するエキスの風味を活かしやすく、また比較的安価なことから、梅酒のベースの定番として重宝されてきました。

梅酒は熟成させるほどおいしくなるといわれていますが、カビや腐敗のリスクはつきものです。その点、35度程度とアルコール度数が比較的高めのホワイトリカーなら、細菌の繁殖を防ぎやすいので安心です。

なお、カビや腐敗のリスクは、ベースのお酒のアルコール度数だけではなく、梅酒の作り方によっても変わってきます。くわしい手順や注意点などは、以下の記事で確認してみてください。

梅酒は本格焼酎ベースでもおいしい!

本格焼酎を使った梅酒作り

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梅酒の味わいは、ベースとなるお酒の個性によって変わってきます。定番のホワイトリカーには梅の個性を邪魔しないという魅力がありますが、梅本来の風味に芳醇な香りやコクを加えたい人は、ブランデーなど強い個性が魅力のお酒をベースに使うのも選択肢のひとつです。

梅酒のベースに本格焼酎を使えば、梅本来の風味に加えて、原料由来のほどよい個性もたのしむことができます。

本格焼酎にはさまざまな種類がありますが、おすすめは、スッキリとした味わいが魅力の麦焼酎と、梅と好相性の米から造られる米焼酎。やさしい甘さやさわやかな飲み口が魅力の黒糖焼酎も梅との相性が抜群です。もちろん、芋焼酎や泡盛で作る梅酒を好む人もたくさんいるので、機会があったら飲み比べてみてください。

本格焼酎の種類や特徴を知っておくと、仕上がりの梅酒の味を想像しやすくなります。以下の記事がベース選びの参考になるかもしれません。

梅酒のベースに合う本格焼酎の選び方

梅酒に合う本格焼酎の種類

ソーガ / PIXTA(ピクスタ)

本格焼酎を梅酒のベースに使う場合、アルコール度数20度以上が大前提ですが、20度と25度、25度と30度など、同じ銘柄で異なるアルコール度数の商品がある場合は、アルコール度数が高いほうを選ぶのが定石です

ここから先は、梅酒のベースに合う本格焼酎を原料別にみていきます。

香りと風味のバランスをたのしむならスッキリ系の麦焼酎

梅独特の味わいに加えて、麦の香ばしさやキレのよさをバランスよく味わいたい人には、クセが少なくスッキリとした味わいの麦焼酎がおすすめ。フルーティーで飲みやすい梅酒に仕上がります。

お米と梅の相性は抜群!! 甘味とコクもたのしめる米焼酎

米焼酎といえば、梅との相性が抜群の米100%で造られる本格焼酎。米焼酎をベースにした梅酒なら、梅の魅力はもちろん、お米の甘味や旨味、コクも存分にたのしめます。さまざまな銘柄を試して、とっておきの組み合わせを見つけてください。

米焼酎

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黒糖焼酎ベースなら、上品な甘味とまろやかな味わいに

やさしい甘さが特長の黒糖焼酎も、梅酒のベースにぴったり。梅のさわやかな風味と黒糖のコクのある甘味がよくなじみ、まろやかな味わいに仕上げてくれます。梅酒などの果実系リキュールはもちろん、本格焼酎を飲み慣れていない人にもおすすめの組み合わせです。

芋独特の甘い香りとコクを味わいたいなら芋焼酎がおすすめ

芋焼酎を食中酒としてたのしんでいる人や、サツマイモ独特の甘味が好きな人には、芋焼酎ベースの梅酒もおすすめ。サツマイモの甘味と濃厚なコク、梅の酸味のハーモニーがたのしめます。

芋焼酎と一口にいっても、スッキリとして飲みやすいものから個性の強いものまでさまざまですが、梅干し割りにしておいしい銘柄を選ぶのもひとつの手かもしれません。

梅酒のベースには泡盛も合う

omizu / PIXTA(ピクスタ)

泡盛ベースなら個性的な香りと豊かな風味を堪能できる

独特の香りや風味を持つ泡盛をベースに使うと、香り豊かで飲みごたえのある梅酒に仕上がります。泡盛の古酒(クース)をベースに使えば、コク深くまろやかな味わいに。

本格焼酎で作った梅酒のおすすめ銘柄

梅酒は漬け込んでから完成までに最短でも3カ月ほどかかります。今すぐに本格焼酎ベースの梅酒を味わってみたい人は、蔵元が造る本格梅酒を試してみてはいかがでしょう。

本格梅酒とは、梅とベースとなるお酒、糖類のみを原料とし、酸味料や着色料、香料を使っていない梅酒のこと。この条件を満たした市販の梅酒には「本格梅酒」と表示することができます。

麦焼酎ベース|本格梅酒「閻魔梅酒」(老松酒造)

本格梅酒「閻魔梅酒」

画像提供:老松酒造株式会社

寛政元年(1789年)創業の老舗蔵元、老松酒造の看板銘柄「閻魔」の原酒に大分・福岡・佐賀県産の鴬宿梅を漬け込み、約2年間熟成させた麦焼酎ベースの本格梅酒。スッキリとした味わいのなかにも、梅の個性が活きた逸品です。
2021年モンドセレクション金賞受賞。

製造元:老松酒造株式会社
公式サイトはこちら

米焼酎ベース|「豊永の梅酒」(豊永酒造)

梅酒

Spica / PIXTA(ピクスタ)

球磨焼酎のふるさと熊本県球磨地方には、どこの家にも庭先に梅の木があって、そこになる梅の実を使って独自のレシピで梅酒を漬ける伝統があるといいます。

「豊永の梅酒」は、有機農法米で造った本格米焼酎をベースに、豊永酒造に代々伝わるレシピで仕込んだ手作りの梅酒。梅の甘酸っぱさと米焼酎のやさしい甘味が特長です。

製造元:合名会社豊永酒造
公式サイトはこちら

芋焼酎ベース|焼酎屋の梅酒「蔵うめ」黒糖仕立て(薩摩酒造)

焼酎屋の梅酒「蔵うめ」黒糖仕立て

出典:薩摩酒造株式会社

造り手は、第一次焼酎ブームの火つけ役で知られる「さつま白波」の蔵元、薩摩酒造。鹿児島県さつま町産の南高梅に黒糖とハチミツを加えて、本格芋焼酎をベースに仕上げた薩摩の梅酒。黒糖とハチミツのほのかな甘味と梅の酸味、芋焼酎の旨味が絶妙に引き立てあった、昔懐かしい味わいが魅力です。

製造元:薩摩酒造株式会社
公式サイトはこちら

梅酒の味わいは、ベースに使う焼酎の個性によって大きく変わってきます。梅の風味を邪魔しないホワイトリカーを使用するのが定番ですが、本格焼酎ならではの個性を活かした梅酒の味わいはまた格別。数ある銘柄のなかから、お気に入りの組み合わせを探してみてくださいね。

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