銀座の水で醸す銀座でしか味わえないクラフトビール「Brewin’bar & Nature銀座醸造所」

銀座の水で醸す銀座でしか味わえないクラフトビール「Brewin’bar & Nature銀座醸造所」

全国各地で造られ個性豊かな味わいにファンも多いクラフトビール。お取り寄せで遠く離れたブルワリーの味わいをたのしむ人が増えるなか、出来立ての味わいにこだわり、“旅をさせないビール”を提供するのが「Brewin’bar & Nature銀座醸造所」。本格フレンチとのペアリングでも注目を集める話題のお店で話を伺いました。

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老舗のオーセンティックバーがクラフトビールのブルワリーに

地下鉄銀座駅とJR新橋駅の中間、飲食店やアパレル店が並ぶビル街の地下に位置する「Brewin’bar & Nature銀座醸造所」は、知る人ぞ知るクラフトビールの醸造所で本格フレンチを味わえるレストラン。
落ち着いた雰囲気の店内には、ずらりと並ぶタップ(ビールの注ぎ口)の正面のカウンター席、また、広いホールにはBOX席が設けられた銀座の土地柄にふさわしい大人向けの上品な空間です。

目の前に約10種類のタップが並ぶカウンター席。

目の前に約10種類のタップが並ぶカウンター席。

落ち着いて食事ができるテーブル席は30席あり広々とした店内。

落ち着いて食事ができるテーブル席は30席あり広々とした店内。

「Brewin’bar & Nature銀座醸造所」にはこれまで2度のリニューアルを経て現在の店舗となった歩みがあります。
1度目は2015年、かつて銀座の社交場として名を馳せた老舗のオーセンティックバー「MONDO BAR」が、30年の歴史に幕を下ろし閉店することになり、当時バーテンダーとして活躍していた仲間が集い、クラフトビール造りのチームを結成。店内のパーティールームを醸造所に改装し、酒造免許を取得。2017年に「BREWIN’ BAR―主水(MONDO)―」として銀座初のブリューパブとなり、できたてのクラフトビールを味わえるバーとして再スタートを切りました。

そして今春、さらに大幅なリニューアルを決行。自社のクラフトビールのほか、親和性が深い自然派ワインのラインナップを充実させ、料理メニューも再考し、本格的なフレンチを味わえるお店に。以前の“BAR”のイメージから一転、食事もゆっくりとたのしめるレストランバーに生まれ変わりました。

提供する側から造る側へ、魅了された醸造の世界

オーナーの児玉亮治さんは、約30年前からバーテンダーとして、銀座をはじめ都内有数の繁華街で、お客様においしく飲んでもらえるお酒を提供し続けてきました。
そして、勤めていた「MONDO BAR」の閉店と同時にビール醸造の世界へ。「まさか自分が造る側になるとは意外でした(笑)」と振り返ります。

(児玉さん)仕事柄、お酒とはずっと向き合っていたので、アルコールの知識はありましたが、ビールを造ることになり、改めて一から勉強し直しました。
麦やホップ、酵母の組み合わせを変え、副原料となるフルーツやスパイスなどをアクセントにしたクラフトビール造りは、バーテンダーだった私からすると、「大きめのカクテルを1週間かけて造るイメージ」ですね。
実際の醸造は微生物の働きによるところも大きいので、使用する酵母によって発酵の進み具合いがそれぞれ違ってくるなど、未知の世界を理解する難しさもありましたが、思わぬハプニングがよい味を生み出す結果に繋がったりもして、醸造の面白さに魅了されました。

「お客様が飲んだ時に喜んでもらえる味わいをイメージして造っています。直にリアクションをいただけるのは飲食店もしているからこそ。おいしそうな表情はやはりうれしいですね」。(児玉さん)

「お客様が飲んだ時に喜んでもらえる味わいをイメージして造っています。直にリアクションをいただけるのは飲食店もしているからこそ。おいしそうな表情はやはりうれしいですね」。(児玉さん)

「旅をさせない」ビール造りとは

銀座の水で醸した“銀座生まれのクラフトビール”は、銀座でしか飲むことができない「旅をさせないビール」がコンセプト。
ノンフィルター、非加熱処理で、鮮度がよく、香りを豊かに感じられて雑味がないのが“流通させていないお酒の醍醐味”と、「旅支度をしていない=無垢なビール」を意識して造られています。
コンパクトな醸造所には、一度に80Lの仕込みができるタンクを4台揃え、ひと月に10〜12回の仕込みを行ない、来店したお客様にさまざまな味わいのビールを提供しています。

(児玉さん)造ったビールはすべてお店で出していますが、お客さまには来るたびに違う味をたのしんでもらいたいので、小さめのタンクでこまめに仕込んでいます。仕込み回数が多いのは大変さがありますが、一つひとつが経験になり、技術の向上に繋がるので積極的に取り組んでいます。現在は、私のほか若いブルワーたちと造っていますが、みんなとても熱心です。

クラフトビール造りは“チャンレジすること”だと思っているので、積極的にレシピの開発に取り組んでいます。夏場は梅や柑橘系のフルーツを使って爽やかに、冬はスパイスやハーブでアクセントをつけるなど、季節に応じて個性のあるビールを造っています。これまでのレシピはすべてストックしていますが、約200アイテムくらいにはなりますね。

「ビール造りで一番大切にしているのは衛生管理。雑味がないクリアな味わいを出すには清潔な環境で造ることがもっとも重要ですね」。(児玉さん)

「ビール造りで一番大切にしているのは衛生管理。雑味がないクリアな味わいを出すには清潔な環境で造ることがもっとも重要ですね」。(児玉さん)

近年のトレンドはサワー系のビール。夏場はとくに人気が高いそう。

近年のトレンドはサワー系のビール。夏場はとくに人気が高いそう。

できたてのビールは店内のタップからお客様へ。

できたてのビールは店内のタップからお客様へ。

クラフトビールと本格フレンチのペアリング

シェフを務める高橋卓さんは、フランス料理店でソムリエの経験もあり、クラフトビールや自然派ワインに精通し、お酒と料理の相性について深い知識を持っています。
児玉さんにオススメいただいたクラフトビールと高橋シェフの料理とのペアリングをご紹介いただきました。

「NE(ニューイングランド) IPA」×「アスパラガスのボイルと半熟卵〜ハーブソース〜」

柑橘を思わせるホップの香りと爽やかな飲み口で、ほのかに感じる苦味が心地よい「NE IPA」に合わせたのはアスパラガス。
ボイルしたアスパラを噛み締めた時に感じる微かな苦味がビールととてもよく合い、フレンチドレッシングの酸味とハーブの香りが、ビールの豊かなホップと一つにまとまる味わいです。

アスパラガスのボイルと半熟卵 1,500円(税抜)

アスパラガスのボイルと半熟卵 1,500円(税抜)

NE IPA  180ml  800円(税抜) グレープフルーツの皮のような苦味が心地よい味わい。 うす濁りで、爽やかだけどさっぱりしすぎず味の深さもある、鮮度抜群のエールビール。

NE IPA 180ml 800円(税抜)
グレープフルーツの皮のような苦味が心地よい味わい。
うす濁りで、爽やかだけどさっぱりしすぎず味の深さもある、鮮度抜群のエールビール。

「ビエール・ド・ギャルド」×「白イカのソテー〜白ワインソース〜」

ベルギーが発祥の「セゾンビール」は、フランスでは「ビエール・ド・ギャルド」呼ばれる人気のビール。セゾン酵母を使用し、発酵由来の酵母の香りが生き、舌触りが滑らかな飲み口。
白イカの旨味とビールの程よい厚みのある味わいがバランスよく口の中に広がります。

白イカのソテー 1,800円(税抜)

白イカのソテー 1,800円(税抜)

ビエール・ド・ギャルド 180ml  800円(税抜) 熟成した紅茶をも思わせる上品な味わい。

ビエール・ド・ギャルド 180ml 800円(税抜)
熟成した紅茶をも思わせる上品な味わい。

「オリジン」×「ウルグアイ産 黒毛牛リブアイ」

お店が掲げる「旅をさせないビール」のコンセプトにぴったりな味わいの、元祖ビアスタイルのオリジン。ビール自体には炭酸がなく、ハンドポンプによって「サージング(泡立ち)」を起こして空気を含ませることで、口当たりが程よくなるビール。
心地よいコクや麦の香りが、鮮度のよさとともに際立ち、肉料理ととてもよく合います。なかでも、お店イチオシのウルグアイ産牛肉は、肉質がやわらかく、上質な味わいでビールの芳ばしさとマッチします。

オリジン 180ml  800円(税抜) カウンターに設置されたハンドポンプでサージングされ、注ぎ立てはきめ細かい泡がきれいに立ち上がります。

オリジン 180ml 800円(税抜)
カウンターに設置されたハンドポンプでサージングされ、注ぎ立てはきめ細かい泡がきれいに立ち上がります。

ウルグアイ産 黒毛牛リブアイ 150g  2,500円(税抜) 成長ホルモン剤を使用せず、牧草のみを食べて育ったグラスフェッドビーフは、キメが細かく、みずみずしさのある肉質。

ウルグアイ産 黒毛牛リブアイ 150g 2,500円(税抜)
成長ホルモン剤を使用せず、牧草のみを食べて育ったグラスフェッドビーフは、キメが細かく、みずみずしさのある肉質。

「旬の食材を使用し、季節感のあるメニュー構成を考えています。ビールの味が料理に足りない部分を補ったりなど、ビールがうまく料理に寄ってくれる設計に造ってくれることが多いので、ペアリングもしやすく、味もまとまりますね」。(高橋シェフ)

「銀座のクラフトビール」としての存在感を

造りたてで鮮度のよいビールを、醸造所と併設した店内でお客さんに飲んでもらうスタイルは、クラフトビールファンの間でも評判となり、「銀座の水でできた銀座のクラフトビール」として親しまれてきています。
「大手メーカーのような大量生産ではなく、小さなブルワリーが造り、目の届くところで消費されるので、お客様との距離感が近く、コミュニケーションが生まれる」と、児玉さんは語ります。

左から 醸造兼ホールの矢島さん、オーナーの児玉さん、高橋シェフ、醸造兼ホールの小嶋さん ※撮影時のみマスクを外しています

左から 醸造兼ホールの矢島さん、オーナーの児玉さん、高橋シェフ、醸造兼ホールの小嶋さん
※撮影時のみマスクを外しています

(児玉さん)「派手さはないですがホッとできる味」を大切に、お客さまにとって“お母さんのおにぎり”のような存在になれたらうれしいですね。“旅をさせないお酒”でみなさんをこれからもたのしませていきたいです」。

流行の発信地として名高い銀座でクラフトビールを醸すブルワリーは、ビールを愛する人たちにとって、羽を休められるオアシスであり続けることでしょう。


「Brewin’bar & Nature銀座醸造所」

東京都中央区銀座8-11-12 正金ビルB1
TEL 03(3574)7004
アクセス/メトロ銀座線新橋駅1番出口3分
     JR新橋駅 銀座口 6分

月〜金 16:00〜23:00
土 14:00〜22:00
日・祝 休

https://brewinbar.com

お店の入り口はこの看板が目印

お店の入り口はこの看板が目印

ライタープロフィール

阿部ちあき

日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会認定 きき酒師 日本酒・焼酎ナビゲーター公認講師
全日本ソムリエ連盟認定 ワインコーディネーター

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