ブランデーとは果実が原料の高級酒! 種類や愛される理由、ウイスキーやラム酒との違いも紹介

ブランデーとは果実が原料の高級酒! 種類や愛される理由、ウイスキーやラム酒との違いも紹介
出典 : gornjak / Shutterstock.com

ブランデーとは、果実を原料とした蒸溜酒の一種。フランスのコニャックやアルマニャック、カルヴァドスは「世界3大ブランデー」と呼ばれています。今回は、ブランデーのおもな種類や世界で愛される理由、ウイスキーやラム酒との違いなどについて紹介します。

  • 更新日:

ブランデーはブドウやリンゴなどの果実から造られる高級なお酒です。ウイスキーとの違いも含めて、その魅力を深掘りします。

ブランデーとはどんなお酒?

ブランデーは果実が原料の蒸溜酒

Ievgenii Meyer / Shutterstock.com

まずはブランデーとはどんなお酒で、どんな魅力があるのかについてみていきます。

ブランデーはブドウなどの果実を原料にした蒸溜酒

ブランデーとは、果実を原料とした蒸溜酒の総称です。語源は「焼いたワイン」を意味するオランダ語の「ブランデウェイン(Brandewijn)」で、イギリスで英語風に訛って、「ブランデー(Brandy)」と呼ばれるようになったといわれています。

ブランデーは世界中でさまざまな果実から造られていますが、一般的にはブドウから造られる「グレープブランデー」のことを指します。原料となるブドウは、ワインに使うものより酸味が強く糖分が少ない白ブドウが主流です。

ブランデーの原料は果実

Gyorgy Barna / Shutterstock.com

グレープブランデー以外にも、リンゴやサクランボ、洋梨、プラム、ベリーなどを使ったものもあり、ブドウ以外の果実で造られたものは通常「フルーツブランデー」と呼ばれます。ほかに、ブドウの搾りかすから造られる「粕取りブランデー」などもあります。

なお、ブランデーは日本の酒税法では蒸溜酒類に分類され、以下のように定義されています。

(ブランデーとは)次に掲げる酒類(イに掲げるものについては、第九号ロからニまでに掲げるものに該当するものを除く。)をいう。

(イ)果実若しくは果実及び水を原料として発酵させたアルコール含有物又は果実酒(果実酒かすを含む。)を蒸留したもの(当該アルコール含有物又は果実酒の蒸留の際の留出時のアルコール分が95度未満のものに限る。)

(ロ)イに掲げる酒類にアルコール、スピリッツ、香味料、色素又は水を加えたもの(イに掲げる酒類のアルコール分の総量がアルコール、スピリッツ又は香味料を加えた後の酒類のアルコール分の総量の百分の十以上のものに限る。)

出典 e-GOV法令検索「酒税法」

ブランデーは香りをたのしむお酒

Vagengeim / Shutterstock.com

ブランデーは香りと美しい琥珀色をたのしむお酒

ブランデーは「香りをたのしむお酒」といわれるように、果実由来のフルーティーな香りや熟成樽由来の樽香などが溶け合う芳醇な香りが魅力です。アルコール度数は40%ほどと高めですが、せっかくならブランデー本来の香りをダイレクトに味わえるストレートで飲みたいもの。

さらに極上の香りを堪能したいなら、ブランデーと常温のミネラルウォーターを1:1で割るトワイスアップもおすすめです。アルコール度数が下がって飲みやすくなるうえ、ストレートで飲むとき以上に芳香が立ち上ってくるはず。

ブランデーは美しい琥珀色も魅力です。その色合いは、果実を発酵させた醸造酒を蒸溜したのち、無色透明の原酒(ヌーベル)を樽熟成することで生まれます。長期熟成されたブランデーは、芳醇な香りとまろやかな味わいで、飲む人を惹きつけます。

ブランデーの種類~世界3大ブランデーとチェリーブランデーを知る

芳醇な香りが特長のコニャック

5PH / Shutterstock.com

ブランデーの種類は豊富にありますが、ここではフランスのA.O.C.(原産地呼称)が認められている「世界3大ブランデー」と、チェリーブランデーについてかんたんに紹介します。

ブランデーの代表格「コニャック」

「コニャック」は、フランス西部のコニャック地方で、厳しい規定に準じて生産されている高級ブランデー。フランスでは「オー・ド・ヴィー・ド・コニャック」や、「オー・ド・ヴィー・デ・シャラント」とも呼ばれます。コニャックの大きな魅力は、芳醇な香りと上品なまろやかさ。最高級クラスのコニャックはボトルデザインも美しく、愛好家のコレクター心をくすぐります。

コニャックの産地は6地区に分けられていて、なかでもグランド・シャンパーニュは最高品質のコニャックを生むことで有名です。原料のブドウ品種としては、ユニ・ブラン(サン・テミリオン・デ・シャラント)やフォル・ブランシュ、コロンバール、モンティル、セミヨンが認められています。

蒸溜は、一般にシャラント型蒸溜機で2回繰り返します。貯蔵・熟成にはリムーザン産かトロンセ産、アリエール産のオーク樽を使用。ブドウの収穫翌年の4月1日から数えて最低2年間熟成しないと「コニャック」として販売できません。

強いコクがあるアルマニャック

5PH / Shutterstock.com

強いコクをたのしむ「アルマニャック」

「アルマニャック」は、フランス南西部のアルマニャック地方で、厳しい規定に基づき生産されている高級ブランデー。強いコクがあり、コニャックよりも野性的な印象を受けます。

アルマニャックの産地は3地区に分けられ、なかでもバ・アルマニャックは最高品質のアルマニャックを生むことで知られます。原料に使われるおもなブドウ品種は、ユニ・ブランやフォル・ブランシュ、バコ・ブラン、コロンバールです。

蒸溜工程では、伝統的な連続式のアランビック(アルマニャック型蒸溜機)で1回蒸溜したあと、単式蒸溜機で2回蒸溜を行います。貯蔵・熟成には、ガスコーニュ地方産のオーク樽が用いられ、「ブランシュ・アルマニャック」以外は収穫の翌年から数えて1年以内は販売できません。

なお、ブランシュ・アルマニャックは、蒸溜後不活性の容器で最低3カ月熟成させ、色をつけられずに販売されます。

華やかな芳香を持つカルヴァドス

barmalini / Shutterstock.com

華やかなリンゴの香り「カルヴァドス(カルバドス)」、「アップルブランデー」

リンゴを原料に造られるブランデーを「アップルブランデー」といい、フランスでは「オー・ド・ヴィー・ド・シードル」と呼ばれています。そのなかでも、フランスのノルマンディー地方カルヴァドス県と近隣県で生産されるものは「カルヴァドス」と呼ばれています。

カルヴァドスは甘酸っぱく華やかな香りで口当たりがよく、飲みやすいのが魅力です。

カルヴァドスの主原料はリンゴですが一部に梨も使用でき、洋梨の醸造酒「ポワレ」を30%以内で混合することが認められています。蒸溜は、単式蒸溜機を使う場合は2回蒸溜で、連続式蒸溜機の使用も可能。蒸溜期間は10月1日から翌年の9月30日までと規定されています。

貯蔵・熟成にはリムーザン産やトロンセ産のオーク樽が使われ、2年以上熟成させます。

チェリーブランデー

Dementieva Iryna / Shutterstock.com

番外編:チェリーブランデーはブランデー?

サクランボを原料とした「チェリーブランデー」は、蒸溜酒とリキュールに分けられます。日本では通常、「チェリーブランデー」というとリキュールのことを指します。

蒸溜酒のチェリーブランデーは、フランスでは「キルシュ」、ドイツでは「ヴァッサー」や「キルシュワッサー(キルシュヴァッサー)」と呼ばれます。蒸溜は単式蒸溜機で行うのが一般的で、樽ではなくガラスや磁器の容器で熟成させるのが特徴。無色透明のまま販売され、リキュールの原料や洋菓子、カクテルなどに用いられます。なお、フランスの「キルシュ・ド・フジェロル」は原産地呼称が認められています。

リキュールのチェリーブランデーは、サクランボをスピリッツに浸漬し、クローブやシナモンなどのスパイスや砂糖を加えてろ過したものを、熟成させて造ります。濃赤色で、カクテルなどに使われています。メーカーによっては、蒸溜酒のチェリーブランデーを加えたものや、無色タイプもあります。

ここではくわしく触れませんが、ブランデーにはもっと種類があり、ワイン製造時のブドウの搾りかすをベースに造られる「粕取りブランデー(ポマースブランデー)」には、フランスの「マール」や「フィーヌ」、イタリアの「グラッパ」などが有名です。

また、ペルー産のブドウ原料ワインを蒸溜した「ピスコ」、洋梨原料の「ポワールブランデー」、すもも原料の「プラムブランデー」、あんず原料の「アプリコットブランデー」などもブランデーの仲間ですね。

ブランデーとウイスキー、ラム酒との違い

ブランデーとウイスキー、ラム酒との違い

Valentyn Volkov / Shutterstock.com

ブランデーとウイスキー、ラム酒の特徴を比較して、違いを確認していきます。

ブランデーとウイスキー、ラム酒はそれぞれ違うお酒

ブランデーとウイスキー、ラム酒はいずれも蒸溜酒(スピリッツ)で、蒸溜後の液体を樽などに詰めて熟成させ、琥珀色に仕上げられます。ラム酒には「ホワイトラム」という無色透明のタイプもありますが、ここでは「ゴールドラム」「ダークラム」と呼ばれる琥珀色のラム酒を取り上げます。

3つのお酒には製法や見た目に共通点があり、見分けがつかないこともあるかもしれません。とはいえ、一見似ていても、それぞれ別のお酒です。

まず原料が異なり、前述したようにブランデーは果実、ウイスキーは穀物、そしてラム酒はサトウキビの搾り汁や糖蜜から造られます。代表的な産地にも違いがあり、ブランデーはフランス、ウイスキーはスコットランドやアイルランド、アメリカ、カナダ、日本などの「5大産地」、ラム酒はキューバをはじめとしたカリブ海諸島産が有名です。

もちろん、風味も異なります。香りや味わいはぜひ飲み比べて確かめてみてください。

ブランデーやウイスキー、ラム酒のハイボール

Basico / Shutterstock.com

ブランデーやウイスキー、ラム酒で作ったハイボールの魅力の違い

ブランデーやウイスキー、ラム酒は、ストレートやロックなど多彩な飲み方でたのしめるお酒で、カクテルにしてもおいしさを堪能できます。

カクテルのなかでも、かんたんに作れて初心者でも飲みやすいのがハイボール。氷を入れたグラスにお酒とソーダ(炭酸水)を、1:3~4を目安に注いで軽く混ぜるだけなので、自宅でも気軽にたのしめます。

ブランデーハイボールは贅沢な味わいが魅力。とくにコニャックで作る「フレンチハイボール」は、芳醇でエレガントな香りに魅了されます。おなじみのウイスキーハイボールは、スッキリさわやかな飲み口で、レモンピールを加えればよりいっそう爽快感が増します。ラムハイボールは、ウイスキーハイボールよりクセが少なく飲みやすいのがポイント。レモンを搾ってさわやかさをプラスするのもおすすめです。

3つのハイボールで、三者三様の魅力を見つけてみてくださいね。

ブドウやリンゴなどの果実を原料に造られるブランデーは、芳醇な香りとまろやかな味わいが魅力です。世界3大ブランデーを筆頭に高級な銘柄が目立ちますが、機会があればぜひ至極の一杯を満喫してみてくださいね。

おすすめ情報

関連情報

ウイスキーの基礎知識

ビア検(日本ビール検定)情報

イベント情報

おすすめ情報

Ranking ランキング

おすすめの記事